俺の名前はゼル・ディン。
日々、SeeDになる為、此処バラムガーデンで特訓し知識を学んでいる。
俺がSeeDになると言い出したのは10歳の時。
親父は驚き腰を抜かし、お袋は『どうしたんだい』と額に手を当て熱なんか計ってきた。
二人ともかなり驚いたということなのだが、息子の真剣さを直ぐに汲んでくれて、笑顔で『あんたに向いているかもね』と言い、賛成してくれた。
恥ずかしながら、俺はバラムの街では“暴れん坊ゼル”と呼ばれ、可愛く言えば“やんちゃ坊主”、悪く言えば“悪戯坊主”だった。
そんな俺の口からSeeDなんて言葉が出たのは、町にとって前代未聞の出来事らしく半日で話題となり、入学時には近所の人々が見送りまでする騒動となった。
バラムガーデンに入学するのに筆記試験とか、体力テストなどは無く、基礎学力と体力があれば誰でも入学出来ると聞かれた所だった。
だが、覚えることは山のようにあり、中でも世界情勢は最初の頃は下の下の成績。
何度、追試試験を受けた事か…。その分、実技に置いてはパーフェクトだった。
自分で言うのもなんだが、俺の体型は小柄の部類にあたる。
だが、格闘技に関してはバラムガーデンで負けた事がない。
日々の鍛錬の中であみ出した、“俺式格闘技”。これにかなう奴は、絶対いないと確信している。
過去のSeeDにも、拳を武器とした者は居ないと聞いていた。
小さい頃から鍛えたこれで、俺が初の“拳のSeeD”になるんだ。
現在、この年で俺は14歳になる。来年になれば、“SeeD選抜試験”を受ける資格が与えられる。
もうすぐ俺の夢が叶う。
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