寺山修司作品。
寺山作品との出会いは、去年の秋、東京漂流時に映画を見たのが初めて。
それまでに、『天上桟敷』というのを名前だけは聞いていたが作品自体を拝見しようという気はおきなかった。
何故なら、きつそうだったから。
実際に映画を拝見して驚いた。想像通りきつかった。
と、同時に私が生まれた頃に既にこのような作品があったことに驚いた。
人の心の深い所、言ってしまえば欲望に近いものを揺さぶる。
たぶん嫌悪感を感じる人が大勢いたのではないかと思った。現在でも十分通用する作品だ。
というよりも、今がそれを真似ているのだ。そう思えてくる。
今回の舞台はそんな寺山さんの作品でしかも美輪さんが演出、そして及川さんもご出演という私の中での期待は大きかった。
当日、会場に行くとびっくり。長蛇の列があったのだ。どうやら立ち見の人らしい。
やはりミッチー効果なのだろうか。
舞台は寺山ワールドたっぷりと言う感じ。上からは蝶が無数に下がっている。
マリーの部屋はミュシャの絵のようにアール・ヌーボーが漂う。
しかし、それは幻想だ。一度、扉を開けるとそこはゴミの中なのだ。
言わば狂気の世界に似ている。でも、よくよく見るとそれは自身の中にも見出せる。
カーテンコールはスタンディング。
はじめは立つつもりなんて無かったのに、美輪さんが聖母のような衣装で登場された瞬間、立っていた。
私が見る限りでは全員なのではないか。カーテンコールまで見せて下さいました。
今度は寺山修司をもう少し勉強してみよう。