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 毛皮のマリ−/美輪明宏 公演


 寺山修司作品。
 寺山作品との出会いは、去年の秋、東京漂流時に映画を見たのが初めて。 それまでに、『天上桟敷』というのを名前だけは聞いていたが作品自体を拝見しようという気はおきなかった。 何故なら、きつそうだったから。
 実際に映画を拝見して驚いた。想像通りきつかった。
 と、同時に私が生まれた頃に既にこのような作品があったことに驚いた。 人の心の深い所、言ってしまえば欲望に近いものを揺さぶる。 たぶん嫌悪感を感じる人が大勢いたのではないかと思った。現在でも十分通用する作品だ。 というよりも、今がそれを真似ているのだ。そう思えてくる。

 今回の舞台はそんな寺山さんの作品でしかも美輪さんが演出、そして及川さんもご出演という私の中での期待は大きかった。

 当日、会場に行くとびっくり。長蛇の列があったのだ。どうやら立ち見の人らしい。 やはりミッチー効果なのだろうか。

 舞台は寺山ワールドたっぷりと言う感じ。上からは蝶が無数に下がっている。 マリーの部屋はミュシャの絵のようにアール・ヌーボーが漂う。 しかし、それは幻想だ。一度、扉を開けるとそこはゴミの中なのだ。 言わば狂気の世界に似ている。でも、よくよく見るとそれは自身の中にも見出せる。

 カーテンコールはスタンディング。 はじめは立つつもりなんて無かったのに、美輪さんが聖母のような衣装で登場された瞬間、立っていた。 私が見る限りでは全員なのではないか。カーテンコールまで見せて下さいました。
 
 今度は寺山修司をもう少し勉強してみよう。



愛知厚生年金会館/2001.5.1.

参照/報告『人生は一幕のお芝居』(くるくる), 日記2000.7.11.

 高野の七福神/劇団ジャブジャブサーキット 公演


 午後2時の公演を見た。 今回の公演ではWキャストが2役あり、そのうちの一つは男性と女性というなかなか興味をひくものでもあった。 個人的には、長尾さん(女優さん)の方が見たかったのだが、回が合わなかった。

 今回も桟敷席にてかぶりつき。 日時指定のため人数が限定されているため、けっこう隣同士の間隔はゆったりとしていた。

 上演時間2時間は辛かった。 途中、とうとうお尻が痛くなってあまり集中出来なくなってしまった。
 内容はとある神社の秋祭りでの人間模様。七福神伝説と村の秘密。
 けっこう削ってもいい所が多々あるように思った。

 何だか一室に自分が透明な存在としていて、そこで話される会話を聞いているという感じ。 何だか不思議な感覚ともいえる。



七ツ寺共同スタジオ/2001.4.28.

暗黒の闇を切り裂く孤独の狩人(パンフより)
 VAMPIRE HUNTER D/映画


 2〜3年前からだと思うが、菊池さんが作品のあとがきにてDの映画についてお話されていた。 しかし、全然、そんな話を聞かないために駄目になったのばかり思っていた。

 Dとの出会いは18の頃、友人に勧められてハマった。 それまで菊池秀行という名前すら知らずにいた。思えば菊池作品との出会いはDだった。 そして、天野さんともこれがはじまりでもあるのだ。感慨深いものがあるな……。

 しかし、Dシリーズ自体は4作目くらいで止まった。 別に何がどうと言うわけではないが、別シリーズ(魔界都市ブルース)に傾いてしまったのだ。 今でもこちらの方が好きだったりする。

 菊池作品のヴァンパイアは悲しい性を持っている。 温かい血を求める苦悩。それは生きていく上での欲望であり、性欲に近いものも感じられる。 とてもリアルに描かれているのだ。個人的に好きなのは、夜香とリリスと秋月。 (夜叉姫伝は途中で討ち死にしたためキャラについてはあまり話せない。←をいっ)

 今回の映画は原作で言うと3作目にあたる。 実は、映画をみるまでどんな内容だったのかこってり忘れていたのだ。見てみてびっくり、何と私がお気に入りの話だったのだ。 貴族(ヴァンパイア)と人間の娘の恋物語だった。 個人的にはマイエル・リンクと夜香がダブるところだ。

 映像はとても綺麗だった。 キャラクターたちもどうだろう、人それぞれだが、私としては納得のいくものだった。 下睫がばりばりあって、濃い。
 過去に第一作目も映画化されているが、こちらはロリコン??というような感が強い。
 また、作品中のバトルのテンポのよさもよかった。 けっこうとんでもない能力を持つ方々のオンパレードなのでどうするのかと思ったが、どのキャラも活き活きと動いていた。
 ラストは原作とちょっと違った。 私のうろ覚えからだとマイエル・リンクが死んだ後、娘が彼の後を追って、彼の爪で自身の咽をかっきる展開だったような気がするのだ。 映画では、先に娘が逝ってからマイエルが後を追う形になっている。 まあ、これはこれでよかったと思う。レイラの下りも原作にあったものだったけ? この辺は追々原作を読み返すとしよう。

 ちなみに、全て英語、字幕での上映。何故か、¥1000で見ることができた。 でもパンフが¥800だったから、普通にみるのと、とんとんか。 会場では限定フィギュアなるものも販売していた。 他にもいろいろグッズがあって、けっこう力を入れているのかもしれない。
 また、観客層を見ると、個人が多かった。 やはり、古くからのファンの人だよね……と密かににんまり。 男性,女性だと同じくらいか。 私は友人と二人で観に行ったのだが、他には一組くらい、しかもカップルだった。

 友人の感想は「期待せずに見に行ったら、けっこうおもしろいかった。 原作も読みたい」とのこと。
 半ば強引に連れて行ったためどきどきしていたが、こういう感想を聞くとほっとする。



マイカル桑名/2001.4.21.

参照/日記2001.5.12.

 チキンラン/映画


 言わずと知れた「ウォレスとグルミット」の制作スタジオ、アードマンスタジオの作品。

 公開前にぴあで記事を見て、なかなかおもしろいかも……と思っていた。 まさか公開当日に見に行くなんて思いもしなかった。 友人の「今日、暇?見に行くよ」の一言にて決定。

 映画館について、チケットを買おうとするとお姉さんが一言『日本語吹替版になりますがよろしいでしょうか?』
 思わず、友人とえっと固まる。ちょっと待って下さいと二人隅っこに行き相談する。 どうするどうする、せっかく来たことだし、字幕は上映しないそうだしさ、………。
 うだうだ悩みながら結局見ることに。

 日本語吹替版だったが、これと言って違和感はなかった。声優さんたちもあっていたように思う。 内容は、ハラハラどきどきの展開。アクション有り、笑い有り、ラブストーリー有り。 個人的には、主人公のジンジャーがなかなか魅力的。ああいった行動的な女の子は好きですわ。
 そして、見終わってクレイアニメだったことを思い出し、凄さを感じた。
 お薦めの作品です。



マイカル桑名/2001.4.14.

 ハムレット/劇団四季公演


 シェイクスピアの舞台というのは初めて。 見に行こうと思ったのは下村さんがハムレットをされるということから。 下村さんは「美女と野獣」でのルミエールを見て、上手い人だなと感じたことから、悲劇と言われるハムレットをどう演じられるか興味を持ったから。

 最初、シェイクスピアを敬遠していた。 それもあって、何も予習せずに見に行った。以前にベジャールさん振付のハムレットを見たことがある。 それは、けっこうダークなイメージがあって、本当は違うだろうなと思ってはいた。

 結果、シェイクスピアっておもしろいと思った。 陰謀が渦巻き、復讐が虎視眈々と進められている。 しかし、敵もさることながら、なかなか上手くは行かない。 犠牲がかなり出ております。何もそんなに死ななくてもいいのに……と感じた。

 内容からは、オフィーリア、可哀想です。 いくら狂気のふりをしているとは言え、ハムレットからは罵詈雑言で罵られ、父親殺されて狂っちゃう。そりゃないだろう。 確かに、今の時代背景からは考えれないけど、そりゃないだろう。

 話の筋としてはかなり無茶なんだけどぐいぐい引き込まれてしまう物語だった。不思議だ。

 演出面からは、セリフが古風なのはそういう芝居だからなんでしょうね。 オフィーリアの狂うシーンが少しくどいかも。 女王の前,レアティーズの前、それぞれ一回でよかったんではないだろうか。 確かにオフィーリアの見せ所ではあるんだけどね。
 彼女が死に、埋葬されるシーン(墓守り)もくどい。早く話を進めてもいいのでは?と思った。
 最後、レアティーズとハムレットの御前試合はかっこよかった。 長剣と短剣の戦いはなかなか見せ所だと思うのだけど、今一つ弱い部分が気になる所だった。
 個人的には日本刀の方が好みだ。やはり鞘は必要だ。剣を鞘に戻す所作は好きだなー。

 余談ですが、登場人物に「ローゼンクランツ」「ギルデスターン」ベイグラントストーリーだ!!
 「フォーティンブラス」鬼武者だ!!しかもラスボス〜〜〜。絶対に悪者だわ。 と睨んでいましたがいい人だった。
 赤石路代さんの作品P.Aでハムレットを上演するシーンがありましたが、あれを舞台にしようってのはかなり気合いいる。 学園祭等でのクラスの出し物でやる作品じゃないですよ。 ほんとに。(ま、マンガなんで何なんですけど……。)

 そして、公演終了後は近くにあるハードロックカフェにてお食事。 ブロッコリー一房、どん、と出て来た時は驚いた。



名古屋新ミュージカル劇場/2001.4.12.

参照/日記2001.7.20.

 蝗牙剣風伝〜逆賊・仮面セイバーの伝説/劇団あとの祭り公演


 おもしろい舞台を拝見してきました。
 劇団あとの祭り『蝗牙剣風伝〜逆賊・仮面セイバーの伝説』です。

 
 時に西暦2014年。文久154年。
 いまだに鎖国を続けるここは、今でない「日本」での物語。
(公演ちらしより)


 
 会場は、桟敷席と椅子とありましたが、SALTはもちろん桟敷席のお座布の上です。かぶりつき大好き。
 その所為か、殺陣に迫力がありました。
 そして不思議なことに舞台が始まった瞬間から文久154年へと引き込まれておりました。

 タイトルだけを見ると、何だかお笑いなのかな?と思いますが、全然違います。
 主人公の麻生(アソウ)は親友山本を仮面セイバーに殺されてしまいます。その敵を討つためにセイバーを追いかけて行きます。しかし、その裏には不思議な計画が立てられていたのです。

 セイバーの正体を知り、彼に会いに行く時に死んだ親友が夢に現れます。

山本『悪いな、先に涅槃で待つ。』
麻生『待たなくていい。俺は行かない。』

 
 のシーンがとても印象的でした。その後、これまた展開がおもしろかったです。

 まだちょっと分らない所があるので、また見た折にその辺も確認出来たらいいなーと思います。
 はい、もう一度見に行こうと思ってます。

 さて、こちらの劇団は岐阜を中心に活動されてますので、遠くの方は難しいかと思われますが、3月20日まで公演されております。

 『ごきげんな日々』掲載



TAKUMIミュージアム/2001.3.17.

 ベジャール・ガラ(4)/東京バレエ団公演


■舞楽■

 雑誌で写真は拝見していた。音楽も黛さんということでかなり期待していた。

 一言でいうと「なんだこりゃ」
 うーむ。どうして、巫女とアメフト選手が出てくるのかが分からなかった。 衣装のコントラストが似ているからなのか。

 始終、首を捻らずにいられない舞台だった。振付としてはハズレだと思った。

■ドン・ジョバンニ■

 ベジャールさんの振付にて、こんなにかわいらしいものがあったなんて驚いた。 出演は女性ダンサーのみ。
 憧れのドン・ジョバンニ、彼の心を掴もうと女の子たちは必死になる。 自分の得意とするバレエを披露する。しかし、それは空想の世界のお話。

 バレエ学校の生徒が踊れば、かわいいかわいいで終わるだろう。 しかし、今回は成熟したダンサーたちが踊るのだ。終わった後、なんとなくせつなく寂しくなった。 でも、ドンを追い掛けた気持ちは忘れない。空想でも必死になった、あの気持ち。

「女の子は幾つになっても女の子」文句は言ってほしくありません。ふふふ。

■ボレロ■

 ボレロを観るのは3回目。
 今回は高岸さん。初めて拝見する。

 やっぱり、ボレロは男性ダンサーの方が好みだと思った。 前回のギエムさんも確かにいいのだが、どうしても力強さには負けるような気がする。 ボレロは男性ダンサーのためにあるものだとひしひしと感じた。 あの内側から溢れて出るリズム、そのリズムを抑える表現・・・。 確かに女性でも可能なのだが、それを男性の体での表現されると思わず息を飲む。
 SALT注:しかし、周りを囲むダンサーが女性バージョンはまだ拝見したことがない。 前回に拝見したギエムさんよりの憶測である。
 観客と舞台が融合することは稀にしかないことだ。今回のボレロにてそれを感じた。

 様々な舞台を拝見するうちに自分が表現者側になりたいと願うことがある。 ボレロもそんな舞台のひとつだ。
 しかし、今の私は女性の体である。 たとえ素晴らしい技術・表現力を持つダンサーだったとしても、男性ダンサーにはなれない。
 そして、今回ほど男性の体に嫉妬したことはない。本当に悔しい。 あの表現は男性ならではだと思わずにいられない。と、共にとても感動してしまった。 曲が終了すると同時に泣いてしまった。しかも、拍手では足りないくらいだった。 このときの思いをどのように記せばよいのか私には分からないでいる。 ただ、出来ることはそのときの自分の状況を伝えること。 いつか言葉に置き換えられることを願っている。



東京文化会館/2000.10.6.

参照/日記2000.10.3.

東京漂流開始
 ベジャール・ガラ(3)/東京バレエ団公演


■火の鳥■

 火の鳥ということで赤い衣装かと思いきや、ブルーの人民服に驚いた。

 主演は木村さんだったのだが、納得がいかなかった。 確かに技術はあるのだが、火の鳥をどう踊ってよいのか分からないでいるように見受けられた。 見ていて何だかむずむずしてしまった。「だからどうしたいんだ」と聞きたくなった。
 最後に出演された後藤(晴)さんは貫禄たっぷりの火の鳥だった。

 この作品も写真のみを雑誌で見ていて期待していたのだが、いまひとつおもしろくなかった。

■春の祭典■

 今回のトリとも言える作品だった。 しかし、これを最後にするのは少々味気ない気がする。 ものすごい作品ではあるのだけど、今回のプログラムからすると印象が弱くなってしまった。 私が初めて拝見したのが「ボレロ」と一緒のプログラムだったからだろうか。



東京文化会館/2000.10.3.

参照/日記2000.10.6.

『夢のつづき』
 密航者(フィリップ・ジャンティ・カンパニー公演)


 毎回、毎回思うのですが、誰かにこのカンパニーを紹介しようとすると説明に窮します。そして、感想を語ろうとするとこれまた困ってしまうんですよね。
 強いて言うのなら「夢」です。

 
 人形のなかみを見てはいけないの?
 カンガルーがね 歌を歌うのよ おかしいでしょ
 お家に入れないの だから燃やしてやった
 足がほしいの うまくつながるといいのだけど
 ねえ、あれをどこにやったの おしえてよ かえしてよ
 あれれ、誰もいないの 返事してよ
  

 
 全体としては夢の断片が集まりひとつのものを構成しているのですが、いやはや唸りました。無機質な紙が生きているように動いているのです。そして、人形がすごい。どんどん大きくなっていくし、何よりも人形が家に火をつける。人が板に変わってる。頭がとれて飛行機になる。誰かの体を破って人が出て来る。一瞬、目を放した隙に変わっている様はまるで手品のようなのですが、それだけではないんですよ。うまく言えなくて申し訳ありません。しかし、確実に見る人の心のどこかに波紋を投げかけていきます。
 残念ながら、私が語ることのできるのはこれだけです。あとは、あなたが彼らの夢の密航者になって確かめてきて下さい。大阪と東京公演が残っています。 
 全ての方にお勧めしたい作品です。



愛知勤労会館/2000.8.1.

『愛ってなんだ?』
 愛の讃歌(美輪明宏公演)


 6:30の開演で終演は10:00過ぎというなかなか長い舞台でした。内容もかなり濃かったです。 お薦めの点は何と言っても一幕終了に歌う「愛の賛歌」です。すごいの一言ですね。 フランス語で歌われたのですがSALTは思わず涙を流していました。この点にもびっくりしました。 (少してれてれ)一生に一度は聞くことをお薦めしたいです。
 あの力強さは何処から来るのでしょう。どうしてそこまで誰かを思うことが出来るのでしょう。 舞台中のセリフで「その人が生きていてくれればそれでいい。 自分がどうなろうと生きていてさえくれればそれでいい」という所がありました。うーむですね。

 ここでSALTは、ある戯曲の一節を思い出しました。 鴻上さんの「朝日のような夕日をつれて」の一節です。


『あたしは初めて知った。愛は自分を殺して初めて成立するもんだと。 女という種族とつきあっている時、無意識のうちに愛の返礼を当然のものとしている自分に気が付いた。 ガクゼンとした。 物質的な返礼はもとより、いわく、肉体の報酬、いわく、希望の報酬、いわく、生活の報酬、さらに恐ろしい事は、愛することで愛されることが当然だと知らず知らず思っていた。 いつかは、私を愛してくれる。そのために走り回っているんだと。 私はただ一つ正しいことを知っている。それは愛を語らう男と女には何もない。 愛の返礼の期待、そんなもの愛じゃないわ、愛じゃないのよ……。』<以下略>

 
 同じようなことを作家の瀬戸内寂聴さんもおっしゃっていた記憶があります。 でも、そこまで誰かを思えることって凄いですよね。 例え、誰かのことを思っても、知らず知らずの内に打算的なところはあるのにな……。 そう考えるSALTとしては、ピアフさんに「どうして与えるばかりで平気なの?」と聞かずにいられません。 きっと微笑んで「愛しているからよ」という返事が返ってきそうですね。 そこが一番分らないのに……。

 また「愛の讃歌」の歌詞は都合上掲載することは出来ません。知りたいという方はSALTまでご一報下さい。メールにてお教え致します。



愛知厚生年金会館/2000.7.11.

参照/報告『人生は一幕のお芝居』(くるくる), 日記2001.5.1.

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