日溜まりに映る風景 〜はじめに〜

 本と言うのも不思議なものですね。
 いくら大好きな作家さんの作品でも読めない時ってありませんか?
 例えば待ち焦がれていた新刊であったとしてもです。
 かと思えば、作品に飢えており、新刊が出ると貪るように読み尽くしたりします。
 また、ある特定の季節になると読み返したくなったりする本もあります。
 そして時々感じるのは、心がそれを求めている時――勿論、本とは限りません。
 こちらの『Breathe〜息するように本を読む〜』は、そんな本をご紹介出来たらと思っております。
 新刊図書が多くなるかと思われますが、一体いつの本?というものも出てくることでしょう。 私は本を“はやにえ”のように買ったまま放置するという癖があるのです。 そして突然に思い出し、読み始めることが多々あるのです。
 同じ作品が何度も語られることもあります。 言わずと知れたことですが、年を重ねて初めて分る気持ちもありますし、違うシーンから見ると全然違う印象を受ける時もあるからです。
 私の心が求めるもの――必ずしも貴方に呼応するとは思いません。
 でも、何かの折に『え、私はこんなことを思ったよ。』 『じゃあさ、この部分はどうよ?』なんていうお話を伺うことが出来るなら、と思い描いているのです。
 深い桜の森――舞い落ちる花びらに惑わされて迷わないようにご注意下さい。
 捻くれた桜の樹が目印です。 そこから南に向かって37歩、ぽっかりと空いた日溜まりのこの場所でお待ちしております。




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