たまさんの感想文
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 掲示板で囁かせていただいた通り、12/1のハリー・ポッターの封切が今からとても待ち遠しいたまです。 もともとたまはハリー・ポッターの話を知っていたわけではなく、夏に『千と千尋の物語』を見た時に流れた予告編で「これはおもしろそうだぞ?」と思い、その後本屋であのハードカバーの本を見たクチなのですね。
 けれど、1冊2000円という値段と、あの重さ、そして、童話としては当たり前なのですが、贅沢に取られている行間にうむむと悩み、ずっと買う踏ん切りがつかなかったのです。 いつものくせで、『文庫化にならないかな?』とか『あの本を2段組にして、そしてもっと行間をきゅっとシェイプアップしてくれたら薄く軽く値段も安くるはずなのに』とか不純な事をぐるぐる考えつつ、それでもどこの本屋でも平積みになっているあの3冊の本を見るたびにうろうろとその周囲を歩き回ること数回。 まず第1冊目を清水の舞台からとびおりる心境で購入いたしました(笑)
 
 …そして、結果はご存知の通り、ころっと転んでしまったのですね(笑) はい、その後すぐにそっこーで残りの2冊を買ってしまいました(苦笑)
 発想のおもしろさ、登場人物の魅力、夢がある設定とどきどきのストーリー展開に、もう20をいくらか超えているというのに今更ながらひきこまれてしまい、そのまま食い入るように読みきってしまいました。
 もともとたまはああいう冒険物、というか、少年達が走りまわる系の話が大好きなのです。 古くなってしまうのですが(あああ、年がばれる)、映画なら「グーニーズ」、童話なら「果てしない物語」など、今でもとてもお気にいりの話です。
 そして、イギリスが舞台ということもあり、どこかホームズを連想させるあの予告での画面にも引かれてしまいました。アメリカのきらきらとした派手な画面と違い、イギリスの作る映画というのは(偏見かもしれませんが)画面がどこか埃っぽくって、レトロなおもむきの店の片隅に、思いもかけない宝物がひっそりと息づいているという感じがするのですね。
 店主のおじいさんもそれがあることを知っていながら、何もいわず、けれど少年達が好奇心のままにそれを持ち出していくのを目を細めて見送っていたり。
 机の上いっぱいに積み上げられた本、その間に忘れられていたようなひとひらのメモ、積み上げた時間そのものが魔法のような、あの独特の空気にたまはたまらなく想像力をかきたてられます。
 
 そういう舞台設定はもちろんなのですが、でもハリー・ポッターの魅力はやはり登場人物が大きな割合を占めていると思うのです。 一生懸命で勇敢なハリー、友情に篤いロン、口うるさいけどここぞというときにはとても頼りになるハーマイオニー、全部を見とおしながら暖かく見守っているダンブルドア、嫌われ役のはずのスネイプもが、全てがあの話を構成する上でなくてはならないと思います。
 設定はファンタジーなのに、その中で走りまわる登場人物はこれ以上ないくらい人間臭くて、間違ったり、傷ついたり、笑いあいながら一生懸命成長していっているというのが非常に好感がもてました。
 ハリー達の経験していることにはおよびもつきませんが、私も確かに小さい頃、こんなふうに一生懸命走りまわって、友達を頭をつき合わせてはしゃいだなぁと、どこか懐かしむ気持ちと、こんな友達がいて、こんな冒険ができたらどんなにいいだろう、という憧れの気持ちが胸の中で交互に折り重なっていくようです。 それが、全世界で広い年齢層に愛読される理由なのかもしれませんね。
 何年ぶりかで読んだ童話は、とても心を暖かくしてくれました。 今はいろいろあって、精神的にも肉体的にもかなり疲労がたまった状態にありますが、再びページをひらけば、なつかしくもわくわくする気持ちが味わえるのが嬉しいです。 そしていつか、もしたまに子供が生まれたら(…いつのことやら、ですが(苦笑))もちろんこの本を読んであげたいし、できればその子達にもこの本がぼろぼろになるまで作品世界を楽しんでもらいたいなぁと思ったりします。
2001.10.31
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